秋の高分子学会

弊社では有機EL素子に関して
次のような学会発表をしました。

    日    : 平成10年9月
    於    : 名古屋国際会議場
    学会名  :高分子学会


  架橋ポリマーを用いた耐熱性有機EL素子の試作

Fabrication of heat resistant multi-layer organic EL devices using crosslinked polymer as matrix

 ○宮島一嘉、土肥雅顕、鈴木一博*、澤邊厚仁
Kazuyoshi Miyajima, Masaaki Doi, Kazuhiro Suzuki and Atuhito Sawabe


【はじめに】
 我々は、正孔輸送層として、PEGDMAをマトリクスとしたTPD層、電子輸送性発光層にAlq3の単体を用いたEL素子において、TPDのTg(63℃)を越える90℃の大気中においても安定な発光(12V、5cd/u)が得られることを報告した。(1、2) ここでは、構造の異なる3種類のEL素子を作製し、PEGDMAをマトリクスとして用いることの有効性を検討した。

【実験方法】
 図1に素子の構造を示す。作製した素子は全て陽極にITO、陰極にLiFとAlを用いた。有機層は、(a)今回我々が提案した,(PEGDMA+TPD)/Alq3、(b)通常の真空蒸着で作製されたTPD/Alq3、(c)正孔輸送層を用いない,Alq3の単体である。発光面積は6×6・である。輝度はトプコン社製BM・8(測定点の直径約2o)を用いて測定した。耐熱性は、一定印加電圧下で室温から3℃/分で加熱した場合の雰囲気温度と輝度の変化から評価した。測定は、全て大気中で行った。

    
【実験結果と考察】
 図2に電圧・輝度特性を示す。(a),(b),(c)の印加電圧13Vにおける輝度はそれぞれ1000cd/m2、11200cd/m2、37cd/m2である。(a)は(b)に比べ、いずれの印加電圧でも輝度が1桁低いが、(c)に比べ約2桁高い。(a)と(b)の特性の違いは、架橋ポリマーがキャリア輸送機能を持たないためである。しかし(a)と(c)の比較から、架橋ポリマーをマトリクスとして用いたTPD層は、正孔輸送層として機能していると考えられる。




 図3に初期輝度を18cd/m2一定とした場合の温度・輝度特性を示す。印加電圧は(a) 、(b) 、(c)それぞれ9V、5V、13 Vであり、そのときの電流は18.6mA、0.27 mA 、3.3 mAであった。(a)では、温度上昇とともに輝度は低くなるが、TPDのTgである63℃より高い、140℃においても5cd/m2の発光が観測された。(b)では、50℃付近までは、輝度は18cd/m2一定であるが、それ以上では温度の上昇とともに急激に低下し、68℃で素子が壊れた。この結果は、TPDのTgが63℃であることを考えると妥当であるといえる。(c)では、温度上昇とともに輝度が急激に低下し、100℃以上で1cd/m2未満となった。これは、正孔輸送層が無いことに起因した非再結合電流によるジュール熱が他の素子に比べ大きいためと考えられる。










【結論】

 架橋ポリマーを有機層のマトリクスとして用いることは、有機EL素子の耐熱性の向上に有効である。


(参考文献) (1)勝 義浩、宮島 一嘉、鈴木 一博、澤邊 厚仁 第57回応用物理学会学術講演会講演予稿集(1996)7P-ZM-8.
(2)宮島 一嘉、鈴木 一博、澤邊 厚仁 第45回応用物理学関経連合講演会講演予稿集(1998)29P-YF-10.

 (株)トウプラス、*青山学院大学
To-plas Co., ltd., *Aoyama-gakuin univ.
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